近年は、少子高齢化が進むにつれて一人暮らしをする高齢者が増えてきています。

その中で一人暮らしの高齢者の孤独死は社会問題にもなり、さまざまなメディアで見たり聞いたりすることも増えました。

今回は、そんな孤独死を少しでも防ぐための対策についてみていきたいと思います。

◎孤独死の現状

孤独死とは、家族や地域での交流や繋がりがあっても老衰や突然の病気などにより、自宅で誰にも看取られることなく亡くなってしまう場合をいいます。一方孤立死は、普段から地域での交流や親族との関係も疎遠で孤立した状態で自宅でお亡くなりになりそのまま誰にも気づかれない場合をいいます。

東京都監察医務院が公表しているデータより、東京23区内における一人暮らしの65歳以上の高齢者の死亡者数は、2009年には2194名だったのが2018年には3882名となっており、およそ10年の間に約2倍の人数に増加していることが明らかになっています。

また、厚生労働省の統計より、孤独死の死因の割合は一番多いのが病死で6割を超えています。次に多いのが自殺で約11％となっています。近年のコロナ禍の影響で家族や地域との交流の場がなくなってしまったことによる孤独感から自殺してしまう人も増えているようです。

◎孤独死を防ぐ対策法は？

孤独死を防ぐためには、まず自身で趣味やボランティア活動など自ら地域の活動に参加し、地域での繋がりを築いていくことが重要です。

これらの活動は、生きがいづくりのためだけにならず、定期的に人と接する機会をつくり、交友関係も築けるので孤独死の対策としてはとても有効な方法です。

また、各自治体でも高齢者を支援する取り組みを行っています。高齢者を見守るサービスは自治体によってさまざまです。

近所付き合いが減少している対策として、自治体は独自の条例などを設けて近所同士の見守りや互いに助け合うための事業をおこなっています。見守りの事業内容は自治体によって異なりますが、おおむね近所の下記のような異変に気づいたら相談できるようになっています。

＊郵便受けに郵便物や新聞が溜まっている。

＊同じ洗濯物が数日間干したままになっている。

＊昼間でも部屋の灯りが点いたままになっている。

＊家の中から異臭がする。

＊最近（長い間）顔を見かけなくなった。など…

このような状況であれば、市のホットラインに相談しましょう。

ほかにも、「会話がかみ合わない」「季節に合わない服を着ている」「同じものを大量に購入している」など高齢者本人に認知症が疑われる様子についても相談できる自治体もあります。

これらの相談先については市区町村や地域包括支援センターなどに設けられている場合が多く、相談には福祉の専門家が配置されているので、気になることがあれば気軽に相談してみましょう。

これら自治体の見守り支援の他にも、民間企業によるさまざまな見守りサービスの事業がおこなわれています。

例えば、郵便局員や宅配便の配達員による安否確認サービス、水道メーターや電気の電位量から使用状況や使用料に異変があれば、すぐに連絡するサービスなど顧客限定の有料サービスとなりますが、このようなサービスを利用することも孤独死を防ぐ有効な方法となります。

孤独死を防ぐ最も適した方法として、老人ホームなどの介護施設に入居することです。

老人ホームでは、毎日多くの人たちと交流し関われるだけでなく、介護士による介護、看護士による日々の健康管理なども整っています。季節のイベントやレクリエーションなどのサービスも提供されます。

施設では、スタッフをはじめ他の入居者との関わりもあるので会話や生活にもハリが持て、さらに万が一何かあった場合にもすぐに対応してもらうことが可能になり家族としても安心することができます。